総長は、甘くて危険な吸血鬼
「後ろは任せろ」
胡桃を庇うように蓮水の前に立ったのは秋斗だった。
秋斗…!
“目の前の敵だけ見てろ”とでも言いたげに、秋斗は俺に向けて顎をクイっと上げる。
…秋斗は強い、俺が見込んだ男だからきっと大丈夫。
「…分かった、そっちは任せる」
後ろを気にせず戦えるようになってから、
一分もしないうちに相手はほとんど倒れ伏した。
強い奴も何人かいたけど相手の殆どが人間だったから楽勝だった。
…にしても、純混血の胡桃が近くにいたのに
BSの奴らは影響を受けてなさそうだったな。
純混血の力は珍しい分、謎が多い。
全ての力を無効化することは出来ないから完全に無敵という訳でもないし。
春流達は胡桃に名前を呼ばれて正気を取り戻してたし、何かアクションが必要なのかもしれない。
とにかく、残るは朔と蓮水の2人。
「はー…永季、一旦引こ」
「はいはい」
は?この状況で逃げるの?
朔はいつもそうだ
自分は後ろに隠れて、不利になったら逃げる
「総長のくせに、仲間やられてのこのこ逃げんの?」
「勝てない戦いはしない」
蓮水が指を鳴らすとあたり一面が白い煙に包まれた
こいつの能力は確か、幻覚の景色を見せる能力
まずい、これじゃ逃げられる…!
「またね、くーちゃん」