【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「お前ら、俺らもいること忘れてないか?」
『…!!!』
凪の冷ややかな声に、胡桃が途端に顔を真っ赤にした。
慌てて俺の腕から逃げ出そうと、両手でぐいぐいと俺の胸を押してくる。
けど、逃がすつもりなんて一ミリもない。
腰に回していた腕に力を込めて、胡桃の身体をしっかりと抱き留めた。
俺はずっと凪達がいること分かっててやってたので別に気にしてないし。
それに、周りの視線を忘れるくらい俺に会えたことを嬉しいと思ってくれたのなら……その気持ちが、たまらなく愛おしかった。
『ちょ、なんで力入れるのっ』
「んー、胡桃の反応が面白くて可愛いから』
『もーっ、離して!』
「やーだ」
膨れっ面で怒る顔も可愛い。
……でも、この可愛い姿をいつまでも他の人に見せてるのは癪に障るので、渋々腕の力を緩めて胡桃を解放してやった。
「…そういえば、天音は?昼ぐらいからずっといないんだけど」
春流がふと疑問を口にした瞬間、場の空気があっという間に張りつめた。
今まで黙っていた秋斗が口を開こうとして、言葉を飲み込む。
そして胡桃もまた、気まずそうに視線を泳がせた。
どこか後ろめたい顔をして。
……これは、何か知ってるな。