総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
そっとシーツに寝かされると、叶兎くんが覆いかぶさるように両腕をつき、見下ろしてきた。
真っ赤な瞳が近くて、逃げ場のない状況に息が詰まる。
『あ、あの…叶兎くん?』
叶兎くんの両腕が私の頭の横にあって動こうにも動けない。
「…俺の事怖くないの?」
いつもより鋭い目付きの叶兎くん。
その奥で揺れる赤は、血に飢えている証にも見えた。
昨日の夜の恐怖が、一瞬だけよみがえる。
確かに、怖かった。初めて叶兎くんを「怖い」と思った。
でも……それで離れたくはなかった。
私が怯えた顔を見せたら、叶兎くんはもっと自分を責めてしまう。
だから、迷いなく答えた。
『怖くない』
私がそう答えると、叶兎くんは苦しそうに眉を寄せて、そのまま体を横にして私に背を向ける。
深いため息をついて、ボソッと言葉を零した。
「俺は怖いよ…胡桃に触れるのが。でも今日はそばにいなかったせいであんな事になって…。」
いつもは自信満々で私の事揶揄ってきて強引で、
かっこよくて大きな背中が…珍しく、今は小さく見える。