総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



「急いで出てきたから今秋斗に貰ったカプセル持ってきてないし…ここ最近、胡桃のそばに居ると自分が抑えられなくなる、今だって吸いたいのを我慢してる」


怖くない、とは言ったけど、

また昨日みたいな状況になったとしたら私にどうにかできる訳でもない。



……なのに、それでも良いなんて思ってしまった。


それでも、一緒にいたい。



『……血、吸う?』



寝転んだままの背中にギュッと抱きつき、耳元に落とした言葉。

数秒の沈黙の後、叶兎くんの声が揺れる。



「…ねえ話聞いてた?」

『うん、聞いてた』

「自分が何言ってるか分かってる?」



自分でもおかしいとは思う。

この状況で、こんなこと言うなんて。



「もしまた自分が抑えられなくなったら俺、胡桃に何するか分かんないよ。」

『…いいよ。叶兎くんなら』

「……」



叶兎くんも流石にこの展開は予想していなかったのか、

言葉に詰まったままこちらを振り向いた。



『私の全部、叶兎くんにあげる』



口にした瞬間、胸が熱くなる。

頬も耳も火照って、心臓が痛いほど鳴っていて。


…私、叶兎くんのこと。

思っていた以上に、どうしようもなく好きなんだ。




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