総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ



私がそう言うと叶兎くんは拍子抜けしたような顔で、肩の力を抜いたみたいに安堵のため息を吐いた。


胸の奥で溜め込んでいたものを吐き出すように、静かに。



「…今の、本気?」



おでこがコツンと触れる距離まで近づいてきて、その瞳が私を真っすぐに覗き込んだ。

視線に射抜かれて、思わず呼吸が止まりそうになる。



「……胡桃の事を守れて、傷つけないで、一緒にいられる方法が一つある」

『…?』

「吸血鬼と、純混血の人間の契約。」



それって、朔が私を探していた理由として口にしていたあの「契約」のこと…?

でも、叶兎くんの声音には重みがあった。

きっと…軽い選択肢なんかじゃない。



「でもこの契約は契約者のどっちかが死ぬまで一生消えないし、婚姻と同じ意味合いを持つものにもなるからそれなりの覚悟が必要で…」



それからいくつか説明してくれたけど、この契約にはかなり条件や制約があるみたいで。



①契約済みの人間側の血は、他の吸血鬼から見れば普通の血と同じ存在になる為、血を理由に誰かに狙われることはなくなる。

②吸血鬼側は契約者の血しか受け付けなくなる代わりに、依存で理性が効かなくなる事はなくなる。

③心から想っている相手でないとこの契約は成立しない。
例外として、吸血鬼が自身の寿命を半分差し出すことでも契約ができる。




淡々と叶兎くんの口から語られる契約の仕組みは、まるで鎖のように強固なものだった。



てか私…朔にそんな重い契約させられそうだったの…?


私の背筋に冷たいものが走る。

想像するだけで、体の奥が凍るように怖くなった。


けれど叶兎くんは、私を縛りたいわけじゃなくて、守りたいから話してくれている。

そのことが痛いほど伝わる。



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