【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
『叶兎くんの強引なとこも……嫌いじゃないよ』
……言葉にすると、ちょっと恥ずかしい。
でも本当のことだから。
私が本気で嫌がることはしないし、あの強引さがあったから、今こうして隣にいる。
叶兎くんは驚いたように目を瞬かせ、次の瞬間、呆れたように笑った。
「胡桃って…もしかして俺の事めちゃくちゃ好き?」
『…今更、気づいたの?』
…そうだよ、好きだよ。
今まで誰かと付き合ったことがないから慣れてなくて、自分から何かすることは少なかったけど…
…多分、叶兎くんが思ってる以上に私は叶兎くんの事が好きだと思う。
『むしろ、叶兎くんこそ相手が私でいいの…?』
本人は「女嫌い」なんて言って女子生徒には塩対応をしているけど、それでも叶兎くんはズバ抜けてモテる。
顔も格好よくて、頭も良くて、スポーツ万能で、喧嘩も最強。
欠点を探す方が難しいくらい完璧な人で。
……私なんかじゃ、釣り合っていないんじゃないかって、時々不安になってしまうことがある。
「胡桃が良い。他の女とかキョーミないから」
当たり前でしょ?と言いたげな顔で、即答した叶兎くん。
まっすぐすぎる声であまりに当然のように言い切るから、胸の奥がぎゅっと熱くなる。
…やっぱり、ずるいよ。