【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
女の子と関わってこなかったからどう接していけばいいか分からない……なんて、出会った頃はそんなことを言ってたっけ。
今となっては、そんな言葉が嘘みたいに思えてくる。
こんなに優しくて、一途で、私のことばかり大切にしてくれて。
この世の男子は全員、叶兎くんを見習えばいいのにって本気で思う。
『…叶兎くんも、私の事めちゃくちゃ好きだよね』
あんなに当たり前みたいな顔で即答されたら、流石の私だって自惚れちゃいそうになる。
すると叶兎くんは、どこか呆れたように、でもすごく甘い目つきで私を見つめてきた。
「俺、結構伝えてる方だと思うんだけど……まだ足りない?」
『えっ?』
いや、十分伝わってます。
もう、これ以上ないくらいに。
いつもいつも、胸がパンクしてキャパオーバーになりそうなくらい、溢れんばかりの愛を伝えてもらっている。
「足りないわけないでしょ」って素直に答えればいいものを、叶兎くんのそんな反応が少し面白くて、私の余計な好奇心が勝ってしまった。
『…足りないって、言ったら?』
期待を込めて見つめると、叶兎くんの瞳が鋭く細められて、唇の端がわずかに上がった。
あ……これ、何か企んでるときの顔だ……!
ヤバい、と思った時にはもう遅かった。
叶兎くんの片手が私の胸元へとすっと伸びて、制服のリボンをスルスルと解いていく。
柔らかな布がサラリと肌を滑り落ちていく感触に、私の心臓はドキンッと大きく跳ね上がった。
首元があらわになり、冷たい空気が肌を撫でる。
ここまでは、いつも血を吸われる時と同じ手順。
だけど──今の叶兎くんの瞳には、明らかに血を欲している時とは違う、熱く濃密な光が宿っていた。