総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「卒業するまでは…って思ってたけど、胡桃が足りないって言うなら遠慮しないよ?」
数秒遅れて意味を理解した瞬間、顔から一気に熱がのぼる。
耳の先まで真っ赤になったのが自分でも分かった。
『や、やっぱ遠慮しときますっ!!』
……自分で煽ったくせに、結局自爆してしまった。
「動揺しすぎ」
堪えきれなかったように、叶兎くんは肩を揺らして小さく笑った。
その笑顔はどこか柔らかくて、私が恥ずかしがる姿を愛おしそうに見ているようだった。
うー、また揶揄われている…!!
でも、「卒業まで待つつもりだった」という言葉に胸がじんわり温かくなる。
無理に迫らず、私の歩幅に合わせようとしてくれててて。
大事にされているんだな、と実感して、ますます心臓が暴れだした。
「俺達のペースで進んでいけばいいよ。…あ、でも、卒業したら…待たないからね?」
軽く頭に手を置かれる。
大きな掌のぬくもりに包まれ、思わず視線を落とした。
『う、…はい』
今だって別に嫌なわけじゃない、ただ心の準備ができてないだけ…っ。
卒業する頃にはきっと心の準備も出来る…と思う。