総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「…で、さっきの話の続きだけど…」
ふいに叶兎くんは姿勢を正し、制服のポケットに手を差し入れた。
そこから取り出したのは、細い鎖に通された銀色の指輪。
「…胡桃は、どう思う?」
『…言ったでしょ、私の全部あげる。って。覚悟は出来てるよ』
私も起き上がって叶兎くんの方に向き合った。
どう思う?もなにも、元より断るつもりは無かったので迷わず答える。
…それに、叶兎くんと契約しておけばもう朔に絡まれることもなくなるかも。
「…分かった。」
叶兎くんは手に持っていた銀色の指輪のネックレスを私の首にかけて、
「全部終わったら改めてちゃんと言うから、まだ指にははめないでね」
ぐっと顔を近づけて優しく笑った。
「……契約には、血の証がいるんだけど。……良い?」
叶兎くんの手がそっと私の頬に触れた。
温かく柔らかな掌と吐息の熱が、私の鼓動を乱していく。
『…うん。いいよ』
覚悟を示すように言うと、叶兎くんは唇をそっと私の首筋へ寄せて、思わず胸が跳ねた。
首筋に牙が軽く触れると、鋭い痛みと同時に熱く吸い上げられる感覚が背中を震わせる。
『…っ』
吐息が肌を撫でるたび、声が漏れそうになる。
吸われているはずなのに胸の奥は不思議な幸福感で満たされていて、危ういほどに心地良い。
やがて、叶兎くんはゆっくりと牙を離し、指輪を両手で包んだ。