総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
しばらく部屋の前で話していたら、叶兎くんが戻ってきた。
後ろには生徒会のみんながいて、
その間に囲まれるように歩いているのは…蓮水さん?
え?どういう…?
「えーっと、まさか連れてくるとは思わなかったんだけど…」
流風くんも予想外のようで、
信じられないものを見るように目を見開いた。
「俺は反対した」
一歩下がった位置にいた桐葉くんが、腕を組んだまま不満を露わにした。
それでも叶兎くんは表情ひとつ変えず、すっと隣の部屋の扉を開ける。
「話がしたいらしい。今のこいつに敵意はない」
「話がしたいだけ…ってホントに信じられるのか?」
「ま、少しでも変な動きを見せたら俺が責任を持って潰すから」
淡々と放たれる言葉は冷たく鋭い刃のようだけど、叶兎くんに睨まれた蓮水さんはその圧に怯むこともなく「うわ、物騒」なんて軽口を返していた。
その無邪気さすら演技なのか、本心なのか……判断がつかない。
彼が私の前を通り過ぎる一瞬、視線が絡む。
「胡桃も来て」
叶兎くんに名を呼ばれて、確信する。
やはり、この人の目的は…私だ。