【完】総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ


「だから、一回全部壊そうかなって」

「………は?」



その場にいる誰もの頭にはてなマークが浮かんだ。

この人は一体何を言っているのだ、と。



「全部壊して、全部一からやり直す。朔の行動、最近どんどん酷くなってんだよ。流石に黙って見てらんねぇっていうか…」



蓮水さんは、朔と昔から仲が良かったと言った。


そんな友達がおかしくなっていく姿を黙って見ているのは…
きっと耐え難いことだ。

蓮水さんの声音には、かすかな諦めと焦りが滲んでいる。



「…それを、何で俺達に?」



叶兎くんが警戒を解かないまま問い詰めると、蓮水さんは叶兎くんではなく、じっと私の方へと視線を向けてきた。



「朔、自分の能力が強すぎるせいで制御できなくなってんだと思う。……稀にしか起きない事だが、吸血鬼のお前らなら知識として教えられているだろ。能力を制御できなくなると、判断力と思考が鈍くなって、自分の願望や欲望への気持ちが大きくなっていく。………で、それを抑えられるのは多分、あんたしかいない」



……え? 私……?


まっすぐに見つめられて、思わず胸が跳ね上がる。

私しか……いない……?



「それが目的?そんなん俺が許可するわけないでしょ」



私が返事に詰まっていると、隣にいた叶兎くんが強固な拒絶の言葉で割り込み、私の肩を抱き寄せるようにしてグッと自分の方へ引き寄せた。



私だって……もうこれ以上、危険なことには関わりたくない……。


だけど……これでも一応、朔は私にとって昔の大切な幼馴染だ。



もし、今までの行いが朔自身の本当の意思じゃなくて、暴走した能力のせいなのだとしたら。


蓮水さんの言っていることが、もし本当なのだとしたら。




……できることなら、助けてあげたい……。


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