総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「だから、一回全部壊そうかなって」
「………は?」
その場にいる誰もの頭にはてなマークが浮かんだ。
この人は一体何を言っているのだ、と。
「全部壊して、全部一からやり直す。朔の行動、最近どんどん酷くなってんだよ。流石に黙って見てらんねぇっていうか…」
蓮水さんは、朔と昔から仲が良かったって言っていた。
そんな友達がおかしくなっていく姿を黙って見ているのは…
きっと耐え難いことだ。
蓮水さんの声音には、かすかな諦めと焦りが滲んでいる。
「…それを、何で俺達に?」
そう聞かれた蓮水さんは、叶兎くんではなく私の方を見た。
「朔、自分の能力に飲み込まれて抑えられなくなってんだと思う。…それを抑えられるのは多分、あんたしかいない」
私…に言ってるんだよね、これ
私しかいない…?
「それが目的?そんなん俺が許可するわけないでしょ」
私が答える前に叶兎くんが言葉を遮り、片手で私を強く引き寄せる。
守るような仕草に、胸がじんわり熱を帯びた。
私だって、面倒事は嫌だし関わりたくないけど…
これでも一応朔は大事な幼馴染だ。
もし、今までのことが朔の意思じゃなくて能力のせいなのだとしたら、
蓮水さんの言う事が本当なら、
…力には、なりたい。