総長は、甘くて危険な吸血鬼 Ⅰ
「そう言って俺達をおびき寄せて、何か企んでるんじゃないの?お前の話を信じられる根拠を説明して」
天音くんの件があったばかりだ。簡単に信じられるわけがない。
私だって、心のどこかで「騙されているかもしれない」と警戒していた。
「…んー。亜美ちゃん達〜ちょっと来てくれる?」
蓮水さんの声に、部屋の隅から三つの小さな影が駆け寄ってきた。
さっきから遠くでお菓子を食べていた子供達。
その無邪気さと、この場の張りつめた空気の落差に、思わず息を呑む。
「このお姉さんとお兄さん達は俺の友達なんだけど、みんな自己紹介できる?」
唐突に“友達”なんて括りをされて、叶兎くんが「いや違うけど」と口を開きかけたけど、相手は何も知らない子供達。
言葉を呑み込み、睨むように視線だけを逸らした。
「栗栖 亜美です!9歳!」
「栗栖 空音」
「…栗栖 莉里です。あたしと空音は7歳」
──栗栖。
その名字を聞いた瞬間、場の空気が一変した。
私たちは思わず顔を見合わせる。
確か妹と弟がいるって…言ってたよね。