総長は、甘くて危険な吸血鬼



え………

今の見てた?



『あ、赤羽くんいつからそこに…』

「“何なのって、何が…”あたりから」



え、ちょ、まってそれほぼ最初から聞いてたってことじゃん

私途中めちゃくちゃ偉そうな事言ってたよね?!

よりによって1番見られたくない人に…


ていうか、それなら助けに来てくれても…なんて希望を一瞬抱いたけど、赤羽くんの事だから助けに来てくれる訳ないか。



「…胡桃、ご──」

『私っ、今急いでるから行くね!じゃあね!』

「あ、おい!俺の話を、待てって」



私は思わず反射で逃げた。

さっきの“喧嘩なら受けて立つけど”なんてかっこつけた台詞が頭の中でリフレインして、顔から火が出そう。見られてたの、恥ずかしすぎる。


後ろから私を呼ぶ声は聞こえるけど、私は一目散に走って逃げた。


< 51 / 405 >

この作品をシェア

pagetop