総長は、甘くて危険な吸血鬼
え………
今の見てた?
『あ、赤羽くんいつからそこに…』
「“何なのって、何が…”あたりから」
え、ちょ、まってそれほぼ最初から聞いてたってことじゃん
私途中めちゃくちゃ偉そうな事言ってたよね?!
よりによって1番見られたくない人に…
ていうか、それなら助けに来てくれても…なんて希望を一瞬抱いたけど、赤羽くんの事だから助けに来てくれる訳ないか。
「…胡桃、ご──」
『私っ、今急いでるから行くね!じゃあね!』
「あ、おい!俺の話を、待てって」
私は思わず反射で逃げた。
さっきの“喧嘩なら受けて立つけど”なんてかっこつけた台詞が頭の中でリフレインして、顔から火が出そう。見られてたの、恥ずかしすぎる。
後ろから私を呼ぶ声は聞こえるけど、私は一目散に走って逃げた。