私を、甘えさせてください
「永田課長」


私を呼ぶ空川さんの声に、『はい』と返事をしようと振り返ったその時。


「拓真さん!!」


ひとりの女性が、会議室に入ってきた。


この・・声は、あの時の・・。


「優、どうしてここに!?」


ああ、やっぱりそうだ。

『愛してるよ・・』

そう言っていた空川さんの声を思い出して、胸が苦しくなった。


「例の外国籍の要員の件、急遽担当が交代になって、今朝私にオファーがあったの。それで挨拶に」

「そうか、じゃあしばらく日本にいるんだな」


私を呼び止めたのは、ふたりのやり取りを聞かせるため?

・・冗談じゃない。


私は、気付かれないように会議室を出た。


廊下を歩きながら、葉月が言っていたことを思い出す。

『もしかしたら遠距離にいて、めったに会えなかったりしたら、同時にとかあるのかな・・』


正しい・・気がした。

彼女は、海外でも仕事をしている人のようだったから。

結局は、どれも本当だったということだろうか。


「ぅ・・ぅ・・ぅぅ」


私は通りかかった空き会議室に飛び込み、声を殺して泣いた。


彼を好きにならなければ良かった ーーー


初めて、後悔した。

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