極上の愛に囚われて
「彼女とは政略結婚だった。小栗は彼女のバックにあるガス田を求めて、繋がりを持とうとしたんだ。愛がなく、契約結婚も同然で、新婚初日に彼女は『私は別のところで暮らす』と言って、出て行ったんだ」
「えっ、初日に!?」
衝撃の事実に目をシパシパさせた。
「多分自分の愛する人と暮らすつもりだろうと思った。彼女にはガス田の強みがあるから、自由な行動を取ったんだろう。形だけの結婚だから、僕も探すことはしなかったんだ」
奥さんが公の場に出てこない理由……一緒に住んでないから、連絡も取ってなかったからなの?
自分の理解を超える状況に頭がくらくらしてくる。
セレブの世界は一般とは違うのだ。
でも彼が言っていた『小栗ホールディングスの看板』と『ガス田』の結婚だと思えば、人の心の繋がりなんていらないのかもしれない。
「けど、沙雪に出会ってからは、そういうわけにはいかなくなった。進むためには、なんとしても離婚してもらわないといけない」
「でも……ガス田はいいの?」