策略家がメロメロ甘々にしたのは強引クールなイケメン獣医師
「初美さんが掃除をする部屋は、ふだん使う部屋だけだ。あとは定期的にハウスクリーニングの業者に頼んでいる」
これだけ大きいと、初美さんひとりじゃ大変だもんね。
「全室に空調があるから、埃は溜まらないし」
いろいろ初耳、初見で感心することばかり。
部屋数は、多くて把握していないって。その各部屋ごとにバストイレ付きなんだって。
そんな人、今まで出会ったことがない。
「家の中で迷子になるかも」
「桃には帰巣本能がないからな、首に鈴でもつけておくか」
「切実です、冗談抜きで本当にです」
「大丈夫、桃がどこにいようが感じる」
卯波先生が、しなやかな人差し指をこめかみと自分の左胸にあてた。
自信がある優しい眼差しが、絶対的な信頼感を与えてくれるから、いつも守られているようで安心する。
卯波先生が開けた扉の向こうからも、気品ある優美な漆喰の壁が目に飛び込んできた。
空気さえも優雅に流れていそうな、落ち着いた佇まいが、心も体も優しく迎えてくれる。
「おっきい! 広い、長い、凄い!」
「出るだけの壮大さを表す形容詞が、口から一気に飛び出した」
高い天井、なんか細かい彫刻が施されている。天井を仰ぎ見る首が痛くなってきた。
リビングルームの絨毯も、毛足が長くてふわふわで、足首まで埋もれちゃいそう。
「あっ」
重厚な風格のある黒革のソファーが、高級感漂う上品なテーブルを囲むように並んでいたことよりも、私は遥か先に目を奪われて、思わず飛び出して走った。
「絨毯に足を取られて転ぶな」
いつもより、声を上げて。心配性なんだから、転ばないったら。
「桃の駆け出し方は、びっくり箱のバネが弾けるようだから危なっかしい」
目の前で吸い寄せられるように動けなくなり、じっと穴が空くほど夢中で見入った。
どれくらい見ていたのか、ふと振り向いた私の顔は満面の笑みで、瞳はきらきらしていたと思う。
「暖炉」
「初めて見たのか。にこにこして、きらきらした目が子どもみたいに嬉しそうな顔だ」
南向きの掃き出し窓から降り注がれる採光に照らされ、眩しそうに目を細める優しい瞳が、遠くから見守るように私を眺める。
「寒い時期に使ってるんですか?」
私の質問に軽く口角を上げ、返事のしるしに浅く頷く卯波先生は、貴公子然とした品のある微笑み。
「この暖炉は、ここの煙が巡って裏側を通り、部屋全体を暖める。暖炉に薪をくべると、ここも暖かくなる」
あんな遠くにいる卯波先生のところまで、暖かさが巡回するの?
はてなマークの私の顔で察したみたい。
これだけ大きいと、初美さんひとりじゃ大変だもんね。
「全室に空調があるから、埃は溜まらないし」
いろいろ初耳、初見で感心することばかり。
部屋数は、多くて把握していないって。その各部屋ごとにバストイレ付きなんだって。
そんな人、今まで出会ったことがない。
「家の中で迷子になるかも」
「桃には帰巣本能がないからな、首に鈴でもつけておくか」
「切実です、冗談抜きで本当にです」
「大丈夫、桃がどこにいようが感じる」
卯波先生が、しなやかな人差し指をこめかみと自分の左胸にあてた。
自信がある優しい眼差しが、絶対的な信頼感を与えてくれるから、いつも守られているようで安心する。
卯波先生が開けた扉の向こうからも、気品ある優美な漆喰の壁が目に飛び込んできた。
空気さえも優雅に流れていそうな、落ち着いた佇まいが、心も体も優しく迎えてくれる。
「おっきい! 広い、長い、凄い!」
「出るだけの壮大さを表す形容詞が、口から一気に飛び出した」
高い天井、なんか細かい彫刻が施されている。天井を仰ぎ見る首が痛くなってきた。
リビングルームの絨毯も、毛足が長くてふわふわで、足首まで埋もれちゃいそう。
「あっ」
重厚な風格のある黒革のソファーが、高級感漂う上品なテーブルを囲むように並んでいたことよりも、私は遥か先に目を奪われて、思わず飛び出して走った。
「絨毯に足を取られて転ぶな」
いつもより、声を上げて。心配性なんだから、転ばないったら。
「桃の駆け出し方は、びっくり箱のバネが弾けるようだから危なっかしい」
目の前で吸い寄せられるように動けなくなり、じっと穴が空くほど夢中で見入った。
どれくらい見ていたのか、ふと振り向いた私の顔は満面の笑みで、瞳はきらきらしていたと思う。
「暖炉」
「初めて見たのか。にこにこして、きらきらした目が子どもみたいに嬉しそうな顔だ」
南向きの掃き出し窓から降り注がれる採光に照らされ、眩しそうに目を細める優しい瞳が、遠くから見守るように私を眺める。
「寒い時期に使ってるんですか?」
私の質問に軽く口角を上げ、返事のしるしに浅く頷く卯波先生は、貴公子然とした品のある微笑み。
「この暖炉は、ここの煙が巡って裏側を通り、部屋全体を暖める。暖炉に薪をくべると、ここも暖かくなる」
あんな遠くにいる卯波先生のところまで、暖かさが巡回するの?
はてなマークの私の顔で察したみたい。