策略家がメロメロ甘々にしたのは強引クールなイケメン獣医師
「晴明が編み込んだって? ずいぶんとロマンチストなんだな」

「珍しいことしないでよ。夏ですが、明日はところにより雪がちらつくでしょう」

「しかし、熱々のお二人のおかげで雪解けは早く、積もることはないでしょう」

「桃、見ただろう? 宝城と桃みたいだ。本当に四人は座持ちがいい」

 にこにこ嬉しそうに笑うご両親を尻目に、呆れた顔で深く息を吐く卯波先生が表情は、あっという間に息子の顔。

「こちらは、卯波先生が用意してくださった手土産です。手ぶらでお伺いしてしまい、不躾ですみません」

「正直に言わなくてもいいのに。俺が急に実家に行くって言ったら、手ぶらでは失礼だって気にするんだ」

「正直で素直で、いい娘さんじゃないか」

「それより三人とも、立ち話もなんだから座ったらいかが?」

 卯波先生が、ふっと鼻から息を吐いて、上目遣いで私たちを見上げて笑った。

「あら、そうね、桃ちゃん、かけて」
「恐れ入ります」
「晴明が女性を連れて来るなんて、いつぶりだ?」
「初めてですよ、ようやくです」

「晴明は口数は少ないし、能面みたいですまんね」
「親父が喋りすぎだ」
「あなたが寡黙なのよ。でもね、桃ちゃん」 
 卯波先生のお母様の表情は、親しみを感じる優しい微笑み。

 まるで、お母さんといっしょにいるみたいで、ほっとする。

「女性は、三分で問題を解決してくれる男性を頼もしく感じたり尊敬する。でも三時間、話を聞いてくれる男性のことは優しいと思い、生涯をともにしてもいいと感じるものよ」

 心を寄せて触れてくれるように、温和な微笑みで諭してくださる。

 卯波先生は両方当てはまる。尊敬できるし優しいし。

「晴明は聞き上手でしょ?」

「卯波先生は、ずっと私の話を聞いてくださります、どんな話もです」

「晴明は、素っ気なくてわかりづらいけど、本質は心が温かくて懐深い人なのよ」

「どちらでもいい、桃に説明してなかった。うちは、この敷地の隣で代々動物病院を経営している」

「晴明ったら照れてるのね。褒めてくれるのは桃ちゃんだけだから、可愛い」

「な、桃。桃をからかう宝城みたいだろう?」
 いつでも宝城宝城って、本当に院長のことが好きだよね。

「小規模だった動物病院を、わたしが大規模に拡大したんだよ。アニマーリア動物高度医療センターといって、うちの医療機関は二次診療専門なんだ」

 話を戻して、卯波先生の話の流れを受けて口を開く卯波先生のお父様は、本当にお話好きなんだ。

 最初にアニマーリアの名前を聞いたのは、院長の口からだったっけね。
 まさか、卯波先生のご自宅に招かれるなんて思いもよらなかった。

「桃、一次診療とは?」
「町のかかりつけの動物病院です」
「つまり?」
「ラゴムのような動物病院です」
「ちなみに二次診療とは?」
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