貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「あいにくだけど、なるべくゲルハルト様の視界に入らないように過ごすつもりなの。嫌いと言っているものを無理に見せる必要もないでしょうから。そこまでしなくてもいいとは言われているけれどね」

 ナディアのほうから本人に提案したとはいえ、寂しさを感じないといえば嘘になる。

 あの時、ゲルハルトはナディアに向かって表情をほころばせた。ほとんど笑わない印象があったためか、あの笑みはナディアの記憶に焼きついている。

「では、こういたしましょうか」

 エセルは軽く手を合わせてから、にこりと笑顔を作った。

 ナディアはそれを見て、妙に胡散臭い顔だと思ったことを反省する。

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