貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「あなたはここで、陛下つきのメイドとして生活するのです」

「……はい?」

 持っていた茶器を取り落とさなかったのが幸いだった。

「百歩譲ってメイドとしての仕事をしろというならわかるわ。でも――陛下つき?」

「あなたが特別な人間だと知らしめるには、最もいい位置だと思いませんか?」

「だめよ、そんなの。いくらなんでも……!」

 ゲルハルトにはかかわらないようにしようと決めたのに、エセルは真逆の提案をする。

「私にゲルハルト様の人間嫌いを直せるとは思えないわ」

「では、いつまでも家族と離れ離れのままこの国に留まりますか?」

 それを聞き、メイドたちが一斉に騒ぎ出す。

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