貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「ゲルハルトは絶対に嫌がると思うわ」

「城の人事を私に一任したのは陛下です。文句は言わせませんよ」

「仮にも国王相手に大きく出たわね……」

 気がのるかと言われれば困るが、もう少しゲルハルトについて知りたい気持ちはあった。

 ナディアが生まれて初めて接した獣人であり、泣いていたところを慰めてくれた相手でもある。

 さらに言うなら、しばらくナディアが生活する国で最も偉い男だ。

(それに)

 たった一度だけ見たゲルハルトの淡い微笑み。

 思い出すとナディアの胸がちりちりと未知の痛みを訴える。

(あの人が笑うところをもう少し見てみたいじゃない?)

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