貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
「必要ない。大した症状は出ていないんだ」

「これからどうなるかわからないでしょう」

 ナディアは明らかに嫌がっているゲルハルトを意図的に無視し、ベッド脇のテーブルに持ってきたものを並べていく。

 乾いたタオルや胸をすっとさせるハーブのオイル、咳がひどい時に食べる飴状に固めたハチミツなど、人間が風邪を引いた時に欲しがるものと大きく変わりはない。

 なかなか警戒を緩めないゲルハルトを横目に見ながら、ナディアはエセルの話を思い出していた。

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