貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 それでもわざわざゲルハルトの看病を任せたのは、ナディアを試しているからか、あるいは本当に追い詰められているからかだ。

 どちらにせよ、ナディアは自分に任された仕事をこなすつもりでいる。

「今だけは私を人間だと思わないで。ただ、この国の人の力になりたいだけなのよ」

 それがナディアの真実だった。

 友達のように慕ってくれるメイドたちも、真っ先に味方だと示してくれたアウグスト夫妻も、顔を合わせれば世間話をするまでになった城の多くの使用人たちも、皆助けたいと思っている。

 その中には当然ゲルハルトも含まれていた。

 ゲルハルトはナディアの言葉を聞いて、藍色の瞳を大きく見開いた。

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