貢ぎ物の令嬢ですが、敵国陛下に溺愛されてます!~二度目の人生は黒狼王のお妃ルート!?~
 なにか言いかけてためらい、代わりとでもいうように眉根を寄せる。

「……眠っている時は寝室に入るな。他人の気配があると眠れない」

「気をつけるわ。気づかなくて入っちゃったらごめんなさい」

「必要以上に世話は焼かなくていい。エセルから指示があればそちらを優先しろ」

「わかった。そうする」

 ようやくゲルハルトが肩の力を抜き、一気に疲れた様子でベッドに身を横たえた。

「大丈夫?」

「……おまえは」

 思わず顔を覗き込んだナディアの頬に、初めてゲルハルトが触れた。

「俺の知る人間とは違うんだな」

 ナディアが聞き返す前にゲルハルトは目を閉じる。

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