政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「すみません。なかなかいいご報告ができなくて」
「いいのよ、気にしないで。ふたりのタイミングがあると思うし」
そうは言ってくれているけれど、お義母様としてはいち早く妊娠の一報が欲しいには変わりない。
生まれる子どもは、拓人さんの後を継ぐ『RENJYO』の後継者になるのだから、拓人さんのご両親にとっては重大な事柄だ。
「拓人も家を空けることも多いと思うし、子作りする時間もロクに取れないのかもしれないって思っていたの」
お義母様は〝子作り〟なんて私にとっては恥ずかしいフレーズもお構いなく口にする。
おかげで顔がじわじわと熱くなっていくのを感じた。
「まぁ、はい、そうですね……」
顔を赤らめた私に気づいたのか、お義母様はふふっと笑う。
「その様子なら、夫婦仲は大丈夫そうね。安心したわ」
そんな風に言い切られて、どきりとする。でも、それを悟られないように笑顔を見せた。
「まぁ、焦らずね。私たちも嬉しい知らせを心待ちにしてるわ」
「はい。ありがとうございます」