政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


 髪を撫でられている手の感触に、手放していた意識が徐々に戻ってくる不思議な感覚を覚える。


 あれ……私、寝て……?


 重い瞼をやっとの思いで開け、そこに見えた顔に思わず目を見開いた。


「っ、た、隆史さん」


 当たり前に、この頭を撫でる手の主は拓人さんとばかり思って目を開けた。

 それなのに、そこにいたのはなぜか隆史さん。

 一瞬にして頭の中はパニックに陥る。


 ちょっと待って。

 さっき早苗さんに会場で話しかけられて、それで、エステの体験に誘われた。それから移動して、着替えて、それで、それで……。

 自分のいる場所は、間違いなくさっきまでいたエステテナントの個室の中。

 だけど、ここに隆史さんがいる意味がわからない。


「あ、あの、私」

「いいよ、そのまま寝ていて」


 うつ伏せの状態から起き上がりかけた体を、隆史さんの手に肩を掴まれ今度は仰向けで横にされる。

 ベッドの横から両二の腕を抑えられ、途端に恐怖を感じた。

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