政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「何をしている」
私の上に迫っていた隆史さんに掴みかかり、ベッドから勢い良く引き離す。やっと上体を起こせた私を、両手で抱きしめた。
「拓人さん」
「大丈夫か」
愛しい声、大好きな腕に包まれ、不思議なくらい一瞬にして胸に安堵が広がる。
両手を回し、安心を確かめるように広い背中を抱きしめた。
「夫婦揃ってどういうつもりかわからないが、俺の大切な妻を傷付けた罪は重い」
これまで聞いたことのない拓人さんの冷徹な声に、ひやりと背筋が寒くなる。
「然るべき対応を取らせてもらう」
「拓人、違うの、聞いて──」
早苗さんの声を言語道断と言わんばかりに「それから」と遮り、拓人さんは続ける。
「当たり前だが、今回の提携の話はすべて白紙だ」
「待って拓人、お願いだから話を」
拓人さんは私を横抱きで抱き上げ、引き留める早苗さんを横切っていく。
「話すことは何もない。あとは代理人を通してもらおう」
最後までキンと冷えた声でそう言い、振り向くこともなく個室をあとにした。