政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


「拓人さん、拓人さんっ」


 店舗を出てすぐ、拓人さんの首にぎゅっとしがみつく。

 部屋から連れ出してもらってやっと、涙がポロポロと溢れ出した。

 極度の緊張と恐怖で涙すら出る状況ではなかったのかもしれない。

 私を抱く拓人さんは足速にホテル内を歩いていく。

 そのまま式典前まで過ごしていた宿泊予定の部屋まで連れ帰ってくれた。

 部屋に入った拓人さんは、リビングルームの革張りのソファへと私を下ろす。

 そのとなりに自分も腰を落とした。


「茉莉花」


 私の手を取り、両手で包み込む。

 その手先を見つめる表情が初めて見る心配そうな顔をしていて、ぎゅっと胸が締め付けられた。

 今日は見たことのない拓人さんの姿を垣間見ている。


「ごめんなさい、私……ひとりで行動するのは控えてと言われていたのに」

「茉莉花は何も悪くない。隣人の知り合いで、まして俺の友人なら、なんの疑いもなくついていったっておかしい話じゃない」


 拓人さんの言う通り、早苗さんだからなんの心配もなく誘いに乗った部分はある。

 でもまさか、こんなことになるなんて……。

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