政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜


「何も、されなかったか?」

「……はい、なんとか」

「なんとかって、何かされたのか」

「されたというほどのことではないです。少し、脚に触れられたくらいですから。拓人さんが来てくれたから、大丈──」


 拓人さんの両手が横から伸びてきて引き寄せられる。普段にはない力強さに、拓人さんの様々な感情を察した。


「大丈夫じゃないだろ。指一歩、触れさせたくないのに」

「拓人さん……」


 心配をかけてしまった申し訳無さ。拓人さんにこんな顔をさせてしまった悔しさ。

 複雑な思いが絡み合って、きつく拓人さんを抱きしめ返す。

 また涙が溢れ出してきて、拓人さんの肩を濡らしてしまった。


「来てくれて、ありがとうございます。嬉しかった……」


 頼りない泣き声でそう言った私の背中を、拓人さんは黙ったままさすってくれる。

 そして、優しく心強い声で「当たり前だ」と言った。

 それから拓人さんは私を片手に抱いたまま各所に次々と連絡を入れていった。

 及川さんをはじめ、お世話になっている顧問弁護士、プリリュとの提携に関わってもらっている取引先など、その行動の速さに驚かされる。

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