政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
拓人さんに連れられ宿泊する部屋に戻ってから二時間近くが経った頃、拓人さんは次々と入る連絡の対応に追われていた。
途中、及川さんが部屋を訪れて出て行くこともあり、その慌ただしさに不安が募る。
大々的に提携を発表した直後のことだ。拓人さんの判断とはいえ、多くの人が突然のことに混乱しているに違いない。
休んでいていいと言われたものの、まったく気が休まらず、邪魔にならないようにそばで拓人さんを見守っていた。
「茉莉花、おいで」
手にしていたタブレットを置いた拓人さんがソファを立ち上がり、向かいのソファにかけていた私に手を差し伸べる。
どうしたのだろうとその手を取り立ち上がった。
「休んでいていいと言ったのに、言うことを聞かなかったな?」
「えっ、そういうつもりでは」
どこか意地悪な口調で言われ、どきりとしてしまう。
私の手を引く拓人さんは肩越しに振り返り口角を上げる。そのままバルコニーへと出ていった。