政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
でも、〝レス〟と言うのは語弊があるかもしれない。
だってまだ、最後までちゃんとできていないのだから……。
婚姻届を出し、結婚生活が始まったその日の晩。
拓人さんは私を抱こうとしてくれた。
その日は『RENJYO TOKYO』のスイートルームを用意してくれていて、極上の一室で結婚初夜を迎えた。
クイーンサイズのベッドに連れていかれ、拓人さんの手によってワンピースを脱がされていく。
あのときの緊張と鼓動の速さは今も忘れられない。
何もかも初めてのことで戸惑い、どうしたらいいのかわからなかった。
爆発しそうな心臓を抱えて、それでも本物の夫婦になるための大事な儀式だと挑んだ──。
だけど、いざ本番を迎えると底知れない不安と恐怖に襲われ、『できません!』と言ってしまっていたのだ。
拒否の言葉は考えるよりも早く口をついて出ていて、気づけば拓人さんが「無理しなくていい」と私を抱きしめていた。
その後はどこか気まずい空気の中互いに衣服を身につけ、広いベッドに並んで眠りについた。