政略夫婦は念願の初夜に愛を確かめる〜極上御曹司の秘めた独占欲〜
「数日だけど、明日から京都のほうに行くことになった」
そう告げられたのは、揃って寝室のベッドに入ってから。
拓人さんは仰向けに横になり、確認なのかスマートフォンを眺めている。すぐに手を伸ばしベッドサイドにスマートフォンを置いた。
「そうなんですか。わかりました」
拓人さんの日常に出張は付き物。こんな風に急に決まることもあり、突然告げられて出かけていくことも少なくない。
国内はもちろん、海外出張も多くある。
だから、驚くことももうなくなった。
結婚当初は「えっ」なんてリアクションを取ってしまっていたけれど、それも今はしない。
「時間を見つけて、お義父様にも会いに行ってくるよ」
「あ、はい。ありがとうございます。喜ぶと思います」
京都の出向く際には、必ず実家の両親に会いにいってくれている拓人さん。
私の家族に対してもそういう細やかな気遣いをしてくれる優しい人だ。
「電気消すよ?」
「はい」
室内灯をリモコンでダウンさせる。
薄暗くなった寝室で、同じベッドに横になるこの瞬間、私は毎回鼓動を高鳴らせる。
「おやすみ」
でも今晩もまた、拓人さんは私の頭を撫で、静かに瞳を閉じてしまった。
その綺麗な横顔を見つめ、今夜もひとりもやもやとしながら眠りについた。