仮面夫婦のはずが、怜悧な外科医は政略妻への独占愛を容赦しない
でも心は繋がってるってわかった。誰かに大切に想われることが、こんなにも心落ち着かせてくれるんだって知った。
清香の言った通り、大知に打ち明けてよかった。そうでなければ、きっと今も悩んでいたと思う。
「実は心配してたの。この前来た時、ちょっと話が聞こえちゃったから」
「そうだったんだ。ごめんね、心配かけて。でもちゃんと話し合って、別れないって二人で決めたから」
「それならよかった。この前とちょっと雰囲気が違ったから、心境の変化でもあったのかなーとは、感じてたけど。今の杏ちゃん、幸せそうな顔してるもん」
「そ、そう!?」
清香に以前、艶々していると言われたこともあり、なんだか妙に照れ臭くなって、慌てて頬を両手で包む。
「何動揺してるのよー、このこの。幸せ者め! 私にも分けろ!」
「やめてよー。志乃さん、旦那さんいるじゃん」
「もうただの同居人よ。恋とか忘れちゃった。あー、私も愛されたい」
はぁ~あと、天井を仰ぎながら、盛大なため息を吐く。そんな志乃を見て、杏はくすくすと笑った。
「そうそう、今日の午前中にね、ちょっと困った患者さんがきて」
「困った患者さん?」