仮面夫婦のはずが、怜悧な外科医は政略妻への独占愛を容赦しない
準備もそこそこに、二人は家を飛び出した。車に乗り込むと、大知は軽快に車を走らせた。目的地は七里ヶ浜。今からそこに向かうらしい。
運転する姿もすごくかっこよくて、横顔がたまらなく素敵だった。朝から彼の助手席に乗ってドライブデートなんて、夢のよう。
「うわぁ、気持ちいですね」
少し窓を開ければ、早速潮風が香る。杏は窓から入ってくる風をうけながら、子供のようにはしゃいでいた。太陽の光が海に反射し、キラキラとしていてすごく綺麗。空には雲一つなく、青一色。まさにドライブ日より。
「杏は海好きだよな」
「はい、好きです。昔はよく、泳ぎに行ったりしてました」
そう話せば、大知の綺麗な横顔が、嬉しそうに緩む。
「あの時もそうだった」
「あの時?」
「マンションの内見の時。ベランダに出てすごくはしゃいでただろ?」
そう言われ、思い出した。あのときの杏はかなりハイだった。そのせいで、大知を呆れさせたんだった。