仮面夫婦のはずが、怜悧な外科医は政略妻への独占愛を容赦しない


 少し前までそう思っていただけに、大切にしなければと、深く想わされる。大知も、その背後にあるものも。

「今日は一日遊び倒すか」
「いいですね!」
「よし、行こう」

 再び車に乗り込むと、あてもなく車を走らせた。

 興味のあるものが見えれば立ちより、楽しそうなところがあれば、車を止めた。

 水族館に入って、そのあとは手作り工房でガラス細工を作った。世界に一つだけのペアグラスに、今日の日付と名前を刻んだ。何の計画もしていなかったが、それが逆に楽しかった。

 道中、大知のスマホに、何度も電話がかかってきていたようだったが、大知は一度も出ようとしなかった。誰なのか。どうして出ないのか聞きたかったが、なんとなく聞ける雰囲気ではなく、心の中で留めておいた。




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