仮面夫婦のはずが、怜悧な外科医は政略妻への独占愛を容赦しない


 夜の八時。有言実行な大知の宣言通り、さんざん遊び倒し、帰宅した頃にはクタクタだった。

 髪は潮風でからまり、足も棒になっていたため、大知の配慮で先にシャワーを浴びさせてもらった。

(それにしても、楽しい一日だったな)

 シャワー後、思い出にふけりながら、今日買ったものをしまっていく。

ご当地でしか手に入らない野菜や調味料など、ふたりで意見を言い合い、両手いっぱい買い込んだ。一緒に作ったグラスは、焼き上がったら自宅に郵送されるらしい。届くのが楽しみで仕方ない。

 心は充足感に包まれ、明日もがんばるぞというやる気に満ちている。好きな人と休日を共有することがこんなにも楽しいなんて知らなかった。

 荷物を片付けソファにかけたところで、シャワーを浴びた大知が杏のもとにやって来た。

「大知さん、早かったですね。先にシャワーを浴びさせてもらってすみません 。今日は一日運転お疲れ様でした。疲れてませんか?」 

 振り返って問うと、大知は「あぁ、全然」と涼しい顔で告げる。

 外科医は体力勝負な面もある。大知はそれもあり、体を鍛えているのかもしれない。

 あまり通えていないようだがスポーツジムの会員のようだし、たまにジョギングもしている。引き締まった綺麗な体は、その証だろう。


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