仮面夫婦のはずが、怜悧な外科医は政略妻への独占愛を容赦しない

***

 ふと瞼に光を覚え目を開けると、カーテンの隙間から朝日が覗いていることに気付く。しかも、目の前には大知の逞しい胸板があって、杏は一気に目が覚めた。

(そうだった……昨夜私、大知さんと)

 一瞬にして昨夜の出来事が思い出され、大知に大事そうに抱擁されたまま赤面する。

 大好きな大知に、すべてをさらけ出してしまって、自分でも信じられない。男女の営みとは、なんて生々しい行為なのだろう。知識としては知っていたが、まさかあそこまでとは……。

 途中からは必死で記憶が怪しいが、大知は最初から最後まで優しかった。

 杏を気遣い、丹念に体をならしてくれたと思う。大知を受け入れた下腹部にはまだ違和感が残っている。



< 40 / 161 >

この作品をシェア

pagetop