国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~

スケジュール帳を破ったそのメモは、ニューヨークで久嗣に渡したものだった。どうして今さら、こんなものを?

「……なんでまだ持ってるの?」
「捨てられなかったんだよ。悪いか。で?
これのどこがお前の番号なんだよ」
「これは……」

書かれたナンバーをじっと見る。真実に気づき、「あ!」と声が出た。

「これ、当時の仕事用の番号だよ。出版社と連絡とるときの番号。あのとき海外通話に対応してたのは仕事用のスマホだけだったから、こっちを書いたの。……でも、その、今見るとこれ……間違ってるね。ごめん」
「は!? 間違ってる!?」
「うん。下二桁、三と六が入れ替わってる。書き間違えたみたい」

久嗣に唖然とした表情を向けられ、私は気まずくて「ホントごめん……」と声が小さくなっていく。

「じゃあ名前は? ニューヨークでは葉月って苗字を名乗ってたろ。だが再会したら玉森だった。自分にも両親にも離婚歴がないのに、どうしてそうなる?」
「葉月……あ、それは……」

すべて思い出した。ニューヨークで夢見る夢子になっていた当時の自分がどんどん掘り返されていく。しかしもう、言い訳はできない。恥ずかしくてたまらないが、私は言葉を絞り出して答えた。

「……ペンネームだよ。小説を書いていたときの。小説家になったら世に名前が出て、見つけてもらえると思ったから……その……。なれなかったけどね。えへっ」
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