国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
離れたくなかったと言う久嗣の顔が切なくて、私は涙腺が弛んだ。そんなこと全然、知らなかった。なにも私に話してくれなかった。
「どうして……? 相談してくれたら、私は寂しいと思わなかったのに。単身赴任なんて言わないで、海外に転勤なったって一緒に付いていくよ。あたり前でしょう? どうしてそんなに、ひとりで抱え込むの?」
「だって仕方ないじゃないか……」
彼は手すりから離れ、ゆらりとこちらへ歩み寄る。背中に手を添えられ、グッと引き寄せられたかと思うと強く抱きしめられていた。彼はすがるように、私の肩に頭を落とす。
「玲菜に好かれている自信がなかったんだ。俺が家にいなくて寂しいと感じてくれているなんて、思い付きもしなかったんだよ」
切なさとうれしさの混じった彼の掠れた声が、じわりと耳に響く。今にも泣いてしまいそうな久嗣の温もりに私も涙があふれ、「バカ」とささやいて抱きしめ返した。