国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~

子どもみたいに頭を押しつけてくる彼が愛しくて、優しく髪を撫でる。

「出会った日からずっと、久嗣の連絡を待ってた。待っても待っても来なくて、悲しくて、再会しても素直になれなかった。一夜のことで妊娠して、仕方なく結婚してくれたんだと思って」
「そんなわけないだろ……」
「久嗣を忘れた日なんてなかったよ。会いたくてたまらなかった。毎日家で待っているのが苦しくて、そばにいたくて、いつも散歩に行くフリして迎えに行ってた。バカみたいでしょ?」

涙声になりながら笑ってみせると、久嗣は肩から頭を持ち上げた。
額をつけて目が合い、彼の親指が私の目尻を拭う。

「本当はずっと久嗣が好きだったの」

必死で告げたその言葉ごと飲み込むように、久嗣は私の唇を塞いだ。

「ん……待っ、て、ここ外……」
「俺も好きだ。玲菜」
「聞いてってば……」

デッキには人はいないが、誰かが展望台から見ているかもしれない。そんな中でのキスは一瞬で終わったが、これまでの久嗣の想いが伝わってくるほど熱烈だった。

「あと一回、キャンセルした分のニューヨーク出張へ行けばノルマは達成する。次の異動で国内部署を希望して、長く家を空ける生活は終わりになる」
「本当に?」
「ああ。そしたらずっと一緒だ」
「うれしい……久嗣とずっと一緒だなんて。うれしくて死んじゃいそう」

かつてないほど素直な言葉がこぼれた私を、彼はもう一度抱き寄せた。展望台に背を向けて、見えないようにキスをする。
打ち上がった噴水の音にかき消されながら、私たちはお互いにしか聞こえない声で「大好き」とつぶやき合った。
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