国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
バーへ? 今日出会った男性と? 怖気づく気持ちももちろんあったが、それよりも彼ともう少し一緒にいたい気持ちの方が勝った。今夜ここでお別れしたら、二度と会えなくなるだろう。
絞りだした声で「はい……」と夢見心地に答えていた。

「じゃあ行こう」という彼の言葉と同時に手を取られ、少し力を入れて引っ張られる。立ち上がってシートから抜け出し、ふたりでシネマシアターを出た。

外へ出ると手は離されたが、私はまだ気分が高揚してうまく歩けない。ふわふわして、先ほどまでひとりきりに感じていた賑やかなストリートは、今度はきらびやかで自由な空間に変わる。

連れられてバーに入った。内装は高級感があり、日本とさほど変わらないシックなバーだが、マスターの動作は日本人よりも少し雑な気がする。着席してすぐ、私たちはどちらも英語で注文をした。
彼は留学中だと聞いたがすでにネイティブの発音をしており、私はとっさに「留学して長いんですか?」と聞いていた。

「半年だよ」
「半年でそんなに!」

グラスが置かれ、乾杯をした。故郷といえど異国で酔っては危ないため、度数の低いお酒を選んでいる。
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