国際弁護士はママとベビーに最愛を誓う~婚姻解消するはずが、旦那様の独占欲で囲われました~
健司くんは「ま、喧嘩なら仲直りしなよ」と私の頭をグリグリと小突いた後、自宅がある方向へと去っていく。手を振り、彼がやっと見えなくなってから息をついた。
まだ、身内に相談するには早い。だって自分のなかで答えが見えないんだもの。離婚しないって決めたはずなのに、ずっと私の心は揺れている。離婚したくないのが本当の気持ちだ。こんなに好きなのにできっこない。でも、次々にあふれてくる不安が苦しくて、おかしくなりそうなのだ。
健司くんを見送るために店から出た歩道で、凌太のベビーカーとともにしばらく佇んでいた。
すると今度こそ、
「玲菜」
と久嗣の声に呼びかけられ、ビクンと体が跳ねた。
「久嗣……」
「ここでなにやってる」
責めるような低い声に体が強張った。久嗣を待っていたのにそんな言い方ないじゃない。時刻は五時半。結局連絡を入れ損なってしまったが、会えてうれしくはないのだろうか。
「なにって、久嗣を迎えに来たんだよ」
久嗣は私を睨んだままなにも言わない。
妙な感じだ。どうしてそんなに冷たいの? 朝と態度が全然違う。