春色の恋−カナコ−[完]
今日はまっすぐ帰ろうと思い、そのまま寄り道せずに電車に乗り込んで。

満員まではいかないけど、座席の空いていない車内。

窓際に立って、外の景色を見ながら電車に揺られた。

河合さん。

今日は声が聞けるかな。

最寄駅に着いて、足りない野菜をかいたしてからバスに揺られて帰宅した。

「ただいま~」

誰もいないけど、とりあえずただいま。

家に帰ってきたぞ!と気持が切り替わる感じがして、いつも少しだけ大きめな声で言うようにしている。

冷蔵庫に野菜を詰め直し、部屋で着替えてから夕飯の支度をすることにした。

おにいちゃん、今日は何時だろう?

昨日遅かったから、どうかな。

トラブルが解決していたら早く帰ってくるかしら。

8割ほど支度が済んだ頃、携帯電話が鳴りだして。

あわてて出ると、おにいちゃんからだった。

『ああ、カナコ?今から帰るよ』

「え、早いんだね!」

今日は早く終わったんだ!河合さんも仕事は終わったんだろうか?

『それで、申し訳ないけどあとで駅まで迎えに来てくれる?』

「え…?」

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