春色の恋−カナコ−[完]
どうにも席へ戻ることができそうにないので、そのまま後片付けをすることにした。

「カナコ、後でまとめてやるから置いといて」

おにいちゃんがそう言ってくれるけど。

でも、どんな顔をしてそちらへ戻ればいいのでしょう!?

うーんと困っていると、いつの間にか空いたお皿を持ってきたおにいちゃんが、ぽんぽんと私の頭に手を乗せてきて。

「カナコ、コウスケが待ってるよ」

冷蔵庫からチューハイを出しながら、いつもの笑顔でおにいちゃんが河合さんを指していた。

「おにいちゃん」

おにいちゃんの前で、とんでもない勘違いをしちゃって。

「あの…ごめんね」

どうしたらいいのかわからないけど、なんとなく謝ってしまった。

「はは。まあ、兄としては複雑ですよ」

小さな声で、私を見ないでそんなことを言うおにいちゃん。

目は笑っていないようだけど、怒っている感じでもない。

そんなことを言うおにいちゃんを初めて見て、思わずぎゅっとおにいちゃんの腕に抱きついてしまった。

「カナコ?」

びっくりしたのか、おにいちゃんがあわてて私の頭をなでてくれて。

「私、おにいちゃんのこと好きだから」

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