春色の恋−カナコ−[完]
数カ月先のことを想像して、テンションが上がる。

興奮した私をなだめるようにしてイスに座らせ、おにいちゃんは手元にあったお茶を飲み干した。

「俺は…河合を信じている。カナコも信じているから」

河合さんは、テーブルの上にある私の手を握ってにっこり笑ってから、おにいちゃんに向きなおった。

「夏に、ご両親にきちんとご挨拶させていただくつもりだ」

それって、それって…。

ぎゅっと握られた手を見つめながら、目がしらが熱くなるのを感じる。

どうしよう、言葉が出てこない。涙が止まらないよぉ。

「はは。カナコ、楽しんでおいで」

顔をあげることができない私に、おにいちゃんの優しい声が響いてきて。

「おにいちゃん…」

涙をこらえることができなくて、どんどんあふれ出てくるんだけどなんとか顔をあげると、少しだけさみしそうな顔をしたおにいちゃんと目が合って。

「ありがとう。おにいちゃん」

素敵な人と巡り合わせてくれてありがとう。

私を信じてくれて、ありがとう。

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