朝、目が覚めたら意地悪なアイツと一緒のベッドで寝ていた件について
春野の家に行く前にお泊まりに必要な物を買いにコンビニに寄る事にした。
「雑誌コーナーで待ってるから」
「うんっ急いで買ってくるね」
えっと…下着に、お風呂セットに歯ブラシ……
下着は可愛いのは無いけど、売ってて助かった。
歯ブラシを探しているとふとアノ時に使うアレが目に入ってきてハッとした。
…私が嫌がるような事しないって言ってたけど、言わば彼氏の家にお泊まりだ。
98%くらいの確率でキスはするだろうし私が嫌がらなかったらその先………イヤイヤイヤ!春野と触れ合うのは正直嫌じゃないけど。
流石に仮の関係なのに先に進んじゃ駄目だ…うん、そこはちゃんと断るっ!
それに結局山田君から聞いた話からすると春野とはあの夜も何もなかったと思うし…
キスは受けいれちゃったけど、それ以上は進まないと心に決めている物だけを買って春野の所に戻った。
そして春野の家に着いて、リビングに通される。
「夕飯ピザ頼むけど、それでいいか?」
「あ!お夕飯食べてなかったね…お昼もご馳走になったのに悪いからお夕飯は私が払うよ」
「気にすんなよ、連れて来たの俺なんだし夕飯くらい遠慮すんなって」
「うぅ…じゃあ、今度ご馳走させてね」
春野はスマホでデリバリーのピザを注文して、ももこちゃんにごはんをあげると私の隣りに座って手を繋ぐ。
普段の春野から想像つかなかったけど、春野っていちゃいちゃするタイプなんだよね。
そして、私自身も知らなかったけどいちゃいちゃするの好きかもしれない…
「…琴音ってさ本当すげぇ良い子だよな」
「え!?何それー?急になんで?」
「俺の事あんなに嫌ってたのに、ちゃんと見てくれようとしてるし…俺の事であんなに怒ってくれてさ。あれ結構嬉しかった」
「それは逆に春野が良い人だからだよ!そうじゃなかったら私今でも春野の事嫌いだったと思うし…意地悪の理由もその…」
「いくら照れ隠しって言っても反省してるって…」
「ふふっ…不器用な春野も好きだよ?」
そう言うと春野が顔を赤くしてハッとした。
「あっ!人としてっ!」
「わかってる…」
わあぁ…また“好き”って言っちゃった…
「それはそうと…いい加減名前で呼んでくれませんかねー?」
「あ…そうだ…ついクセで……あ、嵐っ」
そう呼ぶと、繋いでいた手をグイッと引かれてギュッと抱き締められる。