知ってしまった夫の秘密
 明らかに動揺している巡二を促し、ダイニングチェアに座らせた。
 そして、私が村本さんにされたのと同じように、写真が映し出されたスマホを彼に差し向ける。


「もう全部聞いたし、否定とか要らないから」


 言い逃れできない証拠を突きつけられている今、否定しようとしても無理だけれど。


「こんな写真……いつの間に。いったい誰からのリークで知った?」

「だから、村本さん本人よ」

「アイツはバカか!!」


 巡二は眉間にキュッとシワを寄せ、声を荒げて憤った。
 自分の知らないあいだに勝手に洗いざらい暴露されたのだから、彼にとってみれば裏切られた気持ちなのかもしれない。


「怒る前に、私に言う言葉があるでしょ? 彼女とは二年も前から続いてるんだってね」

「……あの……すまない」


 普段謝ることのない巡二がしおらしく頭を下げた。
 彼女に腹を立てるよりもまず、私への謝罪が先だろう。それに気づかないほうがおかしい。

< 22 / 35 >

この作品をシェア

pagetop