知ってしまった夫の秘密
「村本さん、私に離婚してほしいって。妻の座を明け渡せと言われたわ」

「いや、待ってくれ。それは利英の勝手な考えで、俺は離婚するつもりはない」


 やはり私の思ったとおり、離婚については村本さんの勇み足だったみたいだ。
 彼女に離婚をせがまれているものの、夫はしたくないらしい。
 私にいったいどうしろと言うの。冷静さを欠いている上、ふたりの要求が違っているので、頭がひどく混乱してくる。


「じゃあ、村本さんのことはどうするのよ! 私と離婚せず、彼女とも続けたい、それは虫がよすぎるけど?」

「……だよな」

「本当は私と別れて、彼女と再婚したいんじゃない?」


 本音の部分をズバリ問えば、夫は瞬時に首を横に振った。


「利英とは無理だ。俺と結婚生活ができるのは真琴しかいない。本当だ!」


 彼女よりも私を選ぶという意味合いだろうか。
 いや、なんとなくおかしい。もっと違う思惑がある気がしてならない。


「巡二は、どうして私と結婚したの?」

「それは……」

「この期に及んでウソは言わないで」


 まどろっこしく取り繕われても時間の無駄だ。私が聞きたいのは巡二の本心なのだから。

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