知ってしまった夫の秘密
「“会社の共同経営”? 私は思いやりのある温かな家庭を夢見ていたわ。笑って暮らしていたかった。でもあなたは、家で私が洗濯や掃除をしているときに、外で彼女と会って食事をしたりホテルに行ってた。セックスの相手は彼女の役割だった? 私が子どもが欲しいって言ったとき、どう思ってたの? バカにしないでよ!!」
「真琴……」
「私にはコーヒーソムリエのスクールに通うのも無駄だって言ったくせに、陰で彼女にはたくさん贈り物をしてたんでしょ? 妻の誕生日を無視して、その日に不倫相手と会ってピアスをプレゼントするなんて。絶対許せない!!」
いつも私を論破して話を途中で切り上げるのが巡二のやり口だが、今日はうまく逃げられないとあきらめたようだ。
片手で頭を抱え、私の豹変ぶりに唖然としていた。
「それは……すまなかった。真琴にも買う。なにがいい? 欲しいものを言ってくれ。ネックレス?……いや、バッグか?」
「そういうことじゃない!!」
テーブルを思いきり拳で叩いて椅子から立ち上がった。
償いの意味で贈り物をされてもうれしくもなんともない。そこには誕生日を祝う気持ちは入っていないから。
「ど、どこへ行くんだ?」
スマホとバッグを持って玄関へ向かう私に巡二が声をかけてきたけれど、私は睨んだままなにも答えずにそのまま外に飛び出した。
なぜか涙は出ない。そんな自分は、女としてかわいげがないのだと自覚している。
「真琴……」
「私にはコーヒーソムリエのスクールに通うのも無駄だって言ったくせに、陰で彼女にはたくさん贈り物をしてたんでしょ? 妻の誕生日を無視して、その日に不倫相手と会ってピアスをプレゼントするなんて。絶対許せない!!」
いつも私を論破して話を途中で切り上げるのが巡二のやり口だが、今日はうまく逃げられないとあきらめたようだ。
片手で頭を抱え、私の豹変ぶりに唖然としていた。
「それは……すまなかった。真琴にも買う。なにがいい? 欲しいものを言ってくれ。ネックレス?……いや、バッグか?」
「そういうことじゃない!!」
テーブルを思いきり拳で叩いて椅子から立ち上がった。
償いの意味で贈り物をされてもうれしくもなんともない。そこには誕生日を祝う気持ちは入っていないから。
「ど、どこへ行くんだ?」
スマホとバッグを持って玄関へ向かう私に巡二が声をかけてきたけれど、私は睨んだままなにも答えずにそのまま外に飛び出した。
なぜか涙は出ない。そんな自分は、女としてかわいげがないのだと自覚している。