知ってしまった夫の秘密
「結婚当初からうちはずっとレスでした。夫にとって私は最初から“女”ではなかったんでしょうね。家庭内で秘書を雇っていた感覚だったのかも」


 私は秘書になったつもりなどなかったけれど。


「真琴さんは、旦那さんのどんなところが好きで結婚したの?」


 そんな質問が飛んで来て、私は巡二と出会ったころのことを思い返した。


「話が合って楽しくて。やさしかったんです、結婚前は。でも一番惹かれた部分は……彼の聡明さかな」

「へぇ、頭のいい人なんだな」

「なにが最善かを瞬時に判断できる人で、すごく頼りになったんですよ」


 自分で言っておきながら苦笑いの笑みが漏れた。
 それを目にした佑さんが、不思議そうに首をかしげる。


「私、夫と同じことを口にしてて笑っちゃいました。夫も私を聡明だと言ったんです。結局私たちはそこの価値観でしか繋がっていなかったんですね。だけど私は夫に大切にされたかった。夫婦はどこもこんな感じだ、気にするなって自分に言い聞かせていたけど、私は結婚してからずっと愛情に飢えていたんですよ。それでも耐えていたのに、夫は不倫相手には惜しみなく愛情を注いでいて。私はそこが一番許せないんだと思います」

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