再愛婚～別れを告げた御曹司に見つかって、ママも息子も溺愛されています～

「幹太が真綾のことを心配して、天敵だと認められている僕に電話してくるぐらいだ。よほど真綾は悩んでいるということだよね？」
「……」

　その通りではあるが、具体的な内容をあまり言いたくはない。
　できれば、真綾のところで問題を解決させたいところだが、それをノアは許してくれないようだ。

　彼は有無を言わせないといったように満面の笑みを浮かべているが、目が笑っていない。
　追い詰められている……、と感じるほど強い眼差しを向けられ口を噤む。

　何も言えないでいる真綾をジッと見つめたまま、ノアはほほ笑みを絶やさない。
そのほほ笑みが、より恐ろしさを感じてしまう。
　顔を引き攣らせていると、彼は真摯な目を向けてきた。
　
「幹太は勘が鋭い。真綾が必死に隠したとしても、何かしら感じ取ってしまっているだけ。真綾は落ち込まなくていいよ」
「ノア」
「君のことだ。なんでも母親失格だって悩んでしまうから困ったものだよ」
「……」

　口を噤み続けていると、ノアは急に真剣味を帯びた表情に変わった。

「で？　何をそんなに真綾を悩ませているの？」
「……」